学習する看護組織へのロードマップ

学習する組織を目指してマネジメント・コンパスに取り組もうと思うとき、何にどのよう取り組んでいけば良いのか…という指針として、私たちは以下のようなロードマップを設定しました。

「ひと」のレディネスを整え、「組織」の仕組みを変えていく

まず、学習する組織になっていく過程で、「ひと」のあり方が変わっていくさまと、「組織」のあり方が変わっていくさまを、看護管理者たちをイメージしたマンガで表現しました。

「ひと」へのアプローチと「組織」へのアプローチ

上記のマンガで表現した流れを、「学習する組織へのロードマップ」としてまとめ、そのための「手段」を右側に記載しました。

①PDP導入研修

マネジメント・コンパスを実践するときは、PDPから始めましょう。まずは基本的な考え方を学ぶための研修を行います。研修には、講師を呼ぶ方法と講師を呼ばない方法(MCラーニングを利用)があります。

MCラーニングはいつでも何度でも視聴可能なので、ニーズに合わせた様々な形態で研修を行うことが可能です。MCラーニングを利用したPDP導入研修については「まずはPDPをやってみよう」のページに詳しく書かれています。

②PDP・継続的な実践と学習

院内でPDPが定着するまで、繰り返し実践します。2~3年かけてじっくりとPDPに取り組むことで、管理者のレディネスが整ってくるでしょう

MCラーニングには講義だけでなく、ワークの進め方動画や具体的な事例デモ動画がありますので、実践に活かすことができます

PDP継続的に取り組んでいる施設の実践事例掲載されているので、ちらもご参照ください。

③MCサーベイの実施

PDPが定着してきたら、次はMCチャートを作成・運用する準備をしましょうまず、MCサーベイ人と組織の健康状態を測り、組織の健康状態に応じたアプローチを把握します。組織が元気なときには「目標達成(MCチャートの上半分)」のアプローチを、組織に元気がないときには「問題解決(MCチャートの下半分)」のアプローチを行うのが適切です。

MCサーベイを実施することで、部署の課題を客観的に把握でき、部署の状況を踏まえたPDCAサイクルを回していくことが可能になります。

④管理チーム結成会

私たちは、本格的にMCチャートの運用を始める前に「管理チーム結成会」を行うことを推奨しています。
管理チーム結成会を通じて、「看護部管理室と部署マネジャーは、共に組織を良くするパートナーである」ことを確認し合いましょう。

なぜなら看護管理非常に大変で重たい仕事だからです。だからこそ、師長が一人で背負うのではなく、看護部管理室・師長・サブマネジャーがチームとなり、助け合いながら行うのだ、という認識をしっかり持っていただきたいのです。

⑤MCチャートの作成

MCチャートを作成し、部署の課題をマネジメントチームで共有します。

MCチャートの作成自体は師長が中心となって行いますが師長とサブマネジャーの対話、師長と副部長の対話などを経て、誰もがわかりやすい表現にブラッシュアップしていくことが重要です

MCチャートの作成手順については「MCチャートを作ってみよう」のページに詳しく記載されています。

⑥MCチャートの運用

MCチャートに記載された課題一つひとつについて、チームで取り組み、PDCAを回します。定期的にMCチャートを開いて進捗を管理し、課題が解決したら完了、解決しなければ計画を変更してやり直しましょう。MCチャートはこれまでの目標管理とは違い、1か月ぐらいの短いスパンでどんどん書き換えられていくことが理想です。

取り組みの過程をMCチャートに集約することで、どのように試行錯誤したかをマネジメントチームが共有し、互いに学び合うことができます。

⑦院内発表会

院内発表会などの形で、部署を超え部署の実践を共有し、学び合いましょう。師長会などの既存の枠組みの中で発表を行っても良いですし、「部署PR会」や「MC自慢大会」といった発表の場を設けている施設もあります。

施設ごとの取組は、当サイトの実践事例や、「持続可能な看護組織を考える研究会」のサイトにも掲載してあるので、参考にしてください。

>三重大学病院の実践事例     >江南厚生病院の実践事例

⑧MCシンポジウム・学会

施設を超えた学び合いの場として、MCシンポジウムや学会等での発表があります。

MCシンポジウムは、「持続可能な看護組織を考える研究会」が主催し、年1回程度開催されています。詳しくはこちらご覧ください

持続可能な看護組織を考える研究会」のサイトには、MCシンポジウムのお知らせや、各施設の実践報告記事などが掲載されています。こちらもご参照ください。

本格的な運用の前に、まずは管理者の理解を

これまでマネジメント・コンパスに取り組んできた施設の声によると、「とにかくサービスを導入してやってみる」よりも、まずは少しずつ考え方を学んでもらい、管理者に「このやり方はよさそうだ」と理解してもらってからのほうが、スムーズに運用できるようです。
私たちが「MCラーニング」からの導入を推奨しているのも、こうした声を踏まえてのことです。実際に先進的に取り組んでいる施設では、「MCチャート」を組織全体で運用するまでに2〜3年をかけています。

また、これらの過程の節目節目で「MCサーベイ」を行い、ひとと組織の健康状態を把握することも大切です。

実際の導入事例もぜひご覧ください。